国立大学法人大阪大学大学院医学研究科外科学講座消化器外科学の三吉 範克 先生(所在地:大阪府吹田市、総長:西尾 章治郎)および箕面市立病院(所在地:大阪府箕面市、総長:関本 貢嗣)とICTによる訪問看護連携型の自宅採血サービスの有用性評価に関する共同研究を2025年3月より開始します。ななーる訪問看護デベロップメントセンターおよびななーる訪問看護ステーションも本研究に参加いたします。
実施の背景
急速な高齢化・人口減少と医療費高騰が進む中、社会構造変化に合わせた新しい医療体制を地域全体で創る取り組みが進められており、急性期外来治療においては中核病院の専門性と地域医療の柔軟性を活かした新しい分担と連携の促進が求められています。現在の急性期病院外来における検査の問題点として、抗がん剤治療などを受ける患者さんは、診療に必要な検体検査(血液検査・尿検査等)の検体採取のために早朝から来院し、採取後はその検査結果が出るまでの長い時間を待機し、その結果によっては予定されていた治療を中止しそのまま帰宅することもあり、特に遠方から地域の中核病院に通う患者さんにとって大きな負担となっている点が挙げられます。また抗がん剤治療等を行う患者さんはその副作用のため感染リスクが高い状態にあり、病院内での長い待ち時間や治療が実施できないにも関わらず通院することが問題視されています。
一方、採血などの検体採取行為は主治医が文書で指示することで訪問看護師が患者さんの自宅で行うことが認められています。病院と訪問看護ステーションが連携し、外来診療前日に患者さん自宅での検体採取と病院検査を行うことができれば、診療当日の検査の待ち時間をなくすことができます。さらに治療が実施できない状態である場合には、その情報を前日に病院側で把握できるため、無駄な通院そのものを中止しオンライン診療に切り替えることで感染リスクを抑えた診療を行うことができます。
共同研究の概要
本共同研究では、病院と訪問看護ステーションが連携し、定期受診前日に患者さん自宅で血液検体を採取し、検査結果を主治医が入手するスキームを開発します。これにより、患者さんの利便性とQOLの向上を目指します。以下の3つの主要課題を中心に据え、ICTによる訪問看護連携型の自宅採血サービスの実現を目指します。
①病院外検査併用オンライン診療サービスの開発
訪問看護ステーションとの連携ツールを活用し、病院外での検体採取とオンライン診療を組み合わせた新しい地域医療サービスを開発します。
②患者さんの利便性とQOLの向上
定期受診前日に病院外で検体採取を行い、検査結果を主治医が入手するスキームを構築し、患者さんの通院負担を軽減し、QOLの向上を目指します。
③感染リスクの低減
化学療法施行中のがん患者さんなど、感染リスクの高い患者さんに対して、通院回数の減少による感染リスクの低減を図り、安全な医療環境を提供します。
<共同研究体制>
■国立大学法人大阪大学:研究代表機関および統計解析
大阪大学大学院医学研究科外科学講座消化器外科学 学部内講師 三吉 範克先生
■箕面市立病院:研究実施機関
病院長 岡 義雄先生(責任医師)
■シスメックス株式会社:共同研究機関として研究推進支援およびサービスの事業化検討
ディピューラメディカルソリューションズ株式会社:シスメックス株式会社の支援およびサービスのICT化検討
<対象がん種> 消化器系がん
<評価概要> 研究期間において、サービス開始前と開始後にこのサービスの利便性やQOLなどに関する有用性、満足度評価のアンケート調査
シスメックス株式会社:「地域中核病院の外来患者さんに向けたICTによる訪問看護連携型の自宅採血サービスの有用性評価のための共同研究を開始」
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