ななーる訪問看護デベロップメントセンターの研究員 石川武雅による研究論文が、国際誌 Home Health Care Management & Practice に掲載されました。
論文タイトル
Association Between Long-Term Care Insurance Certification and Early Home-Visit Nursing Frequency in Older Patients With Heart Failure in Japan
掲載誌
Home Health Care Management & Practice
研究概要
本研究は、心不全療養者において、要介護認定(Long-Term Care Insurance: LTCI)を受けているかどうかが、訪問看護開始直後の訪問回数にどのように関連しているかを検討した後ろ向き研究です。
2014〜2024年に、ななーる訪問看護ステーションで心不全を主な診断として訪問看護を開始し、少なくとも2週間サービスが継続した利用者88名を対象としました。
主な変数は以下の通りです。
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目的変数:訪問看護開始から2週間以内の訪問回数
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主な説明変数:要介護認定の有無
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共変量:年齢、性別、寝たきり度4区分(自立・屋内歩行可・椅子座位中心・臥床中心)、医師による特別訪問看護指示の有無、医療保険の「別表7」「別表8」の適用の有無
負の二項回帰(negative binomial regression)を用いて、要介護認定と訪問回数の関連を推定しました。解析では、訪問回数がどの程度多いか少ないかを示す指標(IRR)を用いて比較しました。IRR は「回数がどれほど増えるか減るかの割合」を示すもので、たとえば IRR が 0.67 であれば約3割少ないことを意味します。
主な結果
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要介護認定あり vs なし
IRR = 0.67(95%CI: 0.49〜0.91, p = 0.011)
→ 認定ありの利用者は、認定なしと比べて訪問回数が約33%少ない傾向がみられました。 -
特別訪問看護指示あり vs なし
IRR = 3.39(95%CI: 2.59〜4.48, p < 0.001)
→ 特別指示がある場合、訪問回数は約3.4倍でした。 -
寝たきり度:臥床中心 vs 自立
IRR = 1.99(95%CI: 1.28〜3.10, p = 0.002)
→ ADLが低いほど訪問回数は増加しました。
結論と意義
本研究では、年齢、性別、寝たきり度、医師の特別指示、別表区分などを調整した後も、要介護認定を受けている心不全患者では、訪問看護開始直後の訪問回数が少なくなる傾向が確認されました。
心不全は機能状態が比較的保たれていても再増悪のリスクが高く、医療的ニーズがADLだけでは十分に捉えられない可能性があります。今回の結果は、要介護認定という制度的な指標が、医療的リスクとは別のかたちで訪問回数に影響していることを示唆します。
退院直後の重要な時期に、必要な訪問量が十分に確保されないケースがある可能性を踏まえ、医療的必要性をより適切に反映できる訪問看護の提供体制や制度運用の在り方を検討する必要性が示されました。
論文の詳細: https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/10848223251397543
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